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成年後見

精神上の障害によって判断能力が十分でない方(痴呆性高齢者・知的障害者・精神障害者など)を保護するための制度です。

判断能力が十分でない方が自分で自分の財産を処分するような場合、簡単に人に騙されたりして一文無しになってしまう恐れがあるので、このようなことがないように、後見的な立場に立つ者が判断能力が十分でない人に代わって意思決定を行うことを有効としたり、判断能力の十分でない人が法律行為を行うことについて後見的な立場に立つ者に同意権を与えることによって、判断能力が十分でない人の財産の散逸を防ぎ、もって判断能力が十分でない方を支援するための制度です。

成年後見制度の種類

「後見」、「補佐」、「補助」、「任意後見」の4種類ありますが、すべての後見制度について家庭裁判所か関与しておりますので、以下、裁判所の役割と各制度についてご説明します。

■法定後見

後見による保護を受ける方の意思に関係なく家庭裁判所の審判によって保護を行おうという制度です。この制度に属するものが「後見」、「補佐」、「補助」です。

■任意後見

後見による保護を受ける方の判断能力がはっきりしている状態の時に、将来自分の生活、療養看護、財産状況に関する事務について、将来判断能力がはっきりしなくなったときには自分の頼んだ方にこれらの事務を行ってもらうということを予め契約で定めておく制度です。

「後見」

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方が、「補佐」とは精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な方が、「補助」とは事理弁識能力が不十分な方がそれぞれ制度の対象者となります。そして、これらの方に対して家庭裁判所が保護を始めますよと言ってそれぞれの制度が適用されることになります。

これらの審判を申し立てることができるのはご本人、配偶者、四親等以内の親族、保佐人、補助人、任意後見人もしくは任意後見監督人等ですが、ご本人が痴呆性高齢者、知的障害者及び精神障害者でその福祉を図るため特に必要がある場合には市町村長も申し立てることができるようになりました。
このように介護保険の開始により公的な側面からも保護を行うようになりました。

「後見」手続の進め方

この制度は他の成年後見制度にも共通する点があります。

まず後見開始の審判を受けた方は「成年被後見人」になり「成年後見人」が付されることになります。そして、成年後見人には成年被後見人のする法律行為について代理権及び取消権が付与されます。

すなわち、成年後見人は成年被後見人に代わり財産上の法律行為をすることができます。

また、成年後見人は成年被後見人が行った法律行為を取り消すこともできます。但し、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」については成年被後見人の判断に委ねられ取り消すことはできません。

さらに、成年後見人の権限の行使について一定の場合には裁判所の許可を必要とすることがあります。すなわち、成年後見人が成年被後見人に代わって、その住居に供する土地・建物を売却したり、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定その他これらに準ずる処分をしたりするには家庭裁判所の許可を得なければならないとされてます。もし住み慣れた住居が売却され、成年被後見人が見知らぬ土地へ移転しなければならないことになるとすると、成年被後見人本人の心身に重大な影響を及ぼす恐れがあるので、中立的な機関がチェックする必要があるからです。

このように成年後見制度のもと成年被後見人は保護されているのですが、取引の相手方としては成年後見人と称する者に本当に代理権が与えられているか等分かりませんから、これを確認する手段として成年後見が開始された場合は登記で公示されます。但し、プライバシー保護の点から登記事項証明書は誰でも取得できるわけではなく、本人等一定の者に限定されてます。

「保佐」

保佐開始の審判を受けた方は「被保佐人」となり、「保佐人」が付されることとなります。

保佐人には、被保佐人のする一定の法律行為について同意権が認められてます。すなわち、被保佐人による借財や不動産の処分等法律上当然に同意権が認められるものとこれら以外に裁判所の審判によって同意権が認められるものがあります。そして保佐人の同意なくして被保佐人が行った法律行為について保佐人はこれを取り消すことができます。また、被保佐人の同意がある場合には裁判所の審判によって特定の法律行為につき保佐人に代理権を与えることできます。

さらに、「保佐」の場合も「後見」の場合と同様、保佐人ないし補助人が本人(被保佐人・被補助人)に代わってその住居に供する土地・建物を売却したり、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定その他これらに準ずる処分をしたりするには家庭裁判所の許可を得なければならないとされてます。

「補助」

補助開始の審判を受けた方が「被補助人」となり、「補助人」が付されることとなります。

しかし、補助開始の審判はそれ自体意味がなく、必ず同意権付与の審判または代理権付与の審判とともにすることとされております。そして、補助はなるべく被補助人の行為能力を制限しないという理念から、同意権付与の審判・代理権付与の審判には必ず本人(被補助人)の同意が必要とされます。

また、同意権ないし代理権が与えられた行為について補助人には取消権が認められております。

さらに、「補助」の場合も「後見」の場合と同様、保佐人ないし補助人が本人(被保佐人・被補助人)に代わってその住居に供する土地・建物を売却したり、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定その他これらに準ずる処分をしたりするには家庭裁判所の許可を得なければならないとされてます。

「任意後見」

法定後見制度が本人の判断能力が低下してから裁判所の審判により開始するものであるのに対し、「任意後見」は本人の「判断能力が不十分になった場合にはこの人に自分の代理人として行動してもらいたい」という本人の意思を尊重しようという考えから作られたものです。従って、任意後見契約をした者が、十分な判断ができなくなった場合、原則として法定後見ではなく任意後見契約が発効することとなります。

但し、この場合であっても任意後見には代理権のみで取消権・同意権がないので、「本人の利益に特に必要があると認めるとき」たとえば本人が悪徳商法に騙されやすい場合など本人の保護のため必要な場合には法定後見に移行することができます。

任意後見契約は公正証書によってしなければなりませんが、その効力が生じるのは家庭裁判所で任意後見監督人が選任された後になります。

従って、任意後見監督人選任前なら任意後見契約の当事者は任意後見契約を解除することができます。但し、任意後見監督人選任後であっても「正当な事由」がある場合には家庭裁判所の許可を得て任意後見契約を解除することもできます。

また、任意後見監督人が選任された後で法定後見が開始された場合には、任意後見契約は終了することとなっております。反対に、任意後見監督人が選任される前に法定後見が開始されたとしても任意後見契約それ自体は終了しませんので、法定後見を継続することが本人の利益のために特に必要であると認められるときを除いて、家庭裁判所は任意後見監督人を選任し、法定後見の審判を取り消すこととされております。